雪が降った日の夜、急なご供養にタクシーで出向いた帰路のことです。
ご承知のように、当寺の総門の前は坂道になっています。
「運転手さん、坂を上がって門を右に入ってください」と言ったのもつかの間、
「お寺さん、路面が凍っていて上がれんのや。申し訳ないんやけど、ここで降りてもらえんかなぁ」
こればかりは、どうにもなりません。
車から降り、ふと、空を見上げると……星がとても美しく瞬いていました。
星には、太陽のように自ら光を放つ星と、その光を受けて輝く星があります。
そんな星々のどれもが、ひとつひとつ、キラキラと瞬いているのです。
人も同じですね。
自分が思いもせぬところで、自分の光を受け止めていてくれる人がいるはず。
そんなことを感じながら、滑らぬように足元に目を凝らして、坂道を上がったことでした。
平成十八年二月の『寺だより』から 祥福寺住職合掌
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