鳥取の檀家さんのご法事に出向いたときの事です。
中国山脈を越えて車を進めると、川の流れが徐々に強さを増していく様子がはっきり伝わってきました。
途中で何本かの河川と合流し、鳥取市内に入る頃には見事な大河となりました。
それが何億年にわたって鳥取砂丘に砂を運んだ「千代川」だとのこと。
なるほど、あの急流と水量の豊富さが広大な砂丘を作り上げたのかと
感心したことでした……
が、近年、河川の護岸工事の影響で砂丘が縮小しているというのです。
中国山脈の土砂を飲み込んで出来あがった見事な自然。
災害を避けることだけに腐心して、やせ細ってしまった自然。
「苦しみも悲しみもあって今の私がある」ふと、そんな言葉を思い出した一日でした。
平成十八年六月の『寺だより』から 祥福寺住職合掌
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